日本人は計算には強いが、数字に弱い国民だといわれています。
なんでも数字で表わさなければ気がすまない・・・。
そして、数字になってさえいれば信用してしまう傾向があるようですね。
植物指標による汚染度の測定は、ある植物が生育しているかどうか、被害が認められるかどうか、といった「質的な違い」をよりどころにしているため、結果を数字で表わすことはむつかしいことです。
物理化学的原埋にもとつく測定方法は物質の「量的な違い」を測るため、結果は数量で表わされています。
このことが、植物指標による方法はあいまいで、理化学的方法が正確であるという誤解の基になっています。
PPmの数字で表わされるような、理化学的方法による測定値がかならずしも絶対的でないことは前に述べたとおりです。
・・・しかし、物事を客観的、科学的に表現するために、数量的表現は欠かせないでしょう。
質的な違いを、量的な違いとして表現することが、物事の本質を理解する第1歩になるからです。
ここでは、植物指標による測定方法を数量的に表現することについて考えてみましょう。
わたしたちはいろいろな場合に数字を使って物事を表現します。
しかし、数字を使ったものが、全部数量的表現というわけではありません。
1.数字を記号として用いる。
植物名や、場所などを番号で呼ぶ場合がそうです。
この目的で用いる数字は、大きさや順序をもたないので、数量的表現とはいえません。
2.数字を順序を表わす記号として用いる。
たとえば、大気汚染による植物の被害を5段階に分けて記録する場合です。
被害度1...植物体の一部にかろうじて被害が認められる。
被害度2...明らかな被害が全体に認められる。
被害度3...植物体の半分ぐらいが被害を受けている。
被害度4...植物体の大部分が被害を受けている。
被害度5...植物全体が被害を受けている。
この表現では数字が大きいほど、被害が大きいことを示しています。
しかし、この数字は、厳密な意味での「大きさ」をもっていません。
被害度4は被害度2の2倍の被害であるとか、被害度3は被害度1の3倍という関係が成り立たないからです。